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年賀状を匿名でお出しになったかたへ*(2006.1.11)


「ふと本屋に立ちよったら私の本を見つけた」
かたから年賀状をいただきました。
が、あらら

氏名、住所が未記入でございます。

このままではお返事をしたためることができません。
この日記をお読みでしたら、ぜひ、住所・氏名・年齢性別職業をお知らせくださいませ(年齢性別職業はイイデスよ)。
犬の掛け軸の年賀状を私に出した方、もう一度ご連絡をくださいまし。


--☆

さあて、さてさて話かわって。
56歳の女性を強盗目的で殺害した横須賀基地のアメリカ兵が逮捕されましたな。
付近住民の声がすごい。

「またか」

(^_^;) あきらめ顔になってる〜。
米兵の凶悪犯罪が恒常的に行われていることの、何よりの証明つうことなんだろうけど。
なんだかな。
まあ、今回のこの事件が起きたのが横須賀だったために、少しだけ世間の注目を集めたけど、沖縄なんてホント、海兵隊のやんちゃ場になってるもん。
正直なところ、沖縄市民は、ずっと日米安保の生け贄状態。
強盗、ひき逃げ、放火、レイプ、殺人、発砲、墜落、騒音、らくがき、立ち小便。
またか、またか、またか。
東京八王子では、小学三年生の子ども3人がまたまた米兵にひき逃げにあったものの、その兵隊は、

公務中だったために即日釈放。

どひい。
すげえよな。
公務中にレイプして、公務中に放火して、公務中に強盗して……。
近隣住民は、顔を背け、見ぬふりをする。
国益だもんな。米軍が日本の平和を守ってくれているのだもんな。米軍基地で働いてお金もらっているひとも多いもんな。ワシラはアメリカ合衆国の不沈空母なんだもんな。


♪平和ってなんだっけ、なんだっけ〜♪
♪米軍基地のある国サ♪
♪べべべべいべ〜♪
♪レイプもひき逃げも偉大な平和維持の公務中〜♪
……。
♪ガタガタ言うな米食いどもが、ニューオリ〜ンズ♪
♪しゅらばララララバンバ! ラバンバ♪

……米軍基地と付近住民の関係って、まんま

『羊たちの沈黙』。

子ども; 「またアメリカへ兵がレイプしたり強盗したりしてる」
おとな: 「しっ!見ちゃだめ!寝てるふり寝てるふり」
レクター博士:「私が主人なのだ〜、羊どもよ」

佐世保では、米兵のひき逃げが連続しているのだそうだ。
たぶん、『マッドマックス』かなんか観て、自分たちもマネしたくなったんだな。公務中に。それとも、あれか、『リアル鬼ごっこ』か?
(^_^;)
バイオレンス!


私は何者か
世界と呼ばれているこれは何か
どうやってこの世界にやって来たのか
相談もなしに無理やり参加させられたのなら
管理人はどこにいるのだ
私は管理人に会いたい

……キルケゴール



きれい事なノーサイド*(2006.1.7)


何年かぶりに、高校サッカーのテレビ中継を観た。対戦カードは、大阪代表の大阪朝鮮高校と滋賀の野洲高校。
野洲高校には、私が応援するJリーグチーム、ジェフ市原・千葉に入団することが決まっている選手がいて、ちょっと観てみたいと思ったのだ。
対する大阪朝鮮は、強豪校の国見高校を破って波に乗っているとのこと。実際、見どころたっぷりの好試合となり、おたがい一点ずつとりあってPK戦までもつれた試合は、最終的には、野洲高校の勝利となった。
大阪朝鮮高校の、激しい攻撃的な守備からボールを奪うと一気にサイドに展開する素早い攻撃に感心したし、野洲高校の、細かいトリッキーな連携プレイにも驚かされた。
どちらにも勝たせたいような、いい試合だったと思う。
……しかし、両者死力を尽くしたのちのPK戦のさなかに、信じられない光景(実際は音声)が起きた。
大阪朝鮮高校のキッカーに対するブーイング。

うーうー!
ぶーぶー!

不機嫌そうな声を出して、威嚇といおうか、“おまえがPKを失敗するのを私たちは望んでいるのだ”という意思表示をしているのだ。
私は元来、このブーイングというやつが嫌いだ。プロスポーツであろうとも。
スポーツマンにかける言葉(言葉ですらない)として、あまりに野卑にすぎる。
ましてや、真剣に真摯に闘っている高校生たちに向かって、周囲がこういう態度でどーするよ。
大阪朝鮮高校はもちろん、野洲高校の皆さんに対しても、失礼極まる行為ではないか。正直、ショックでならなかった。
いったい誰が、このような醜い行為をしでかしたのか。
ジェフ市原・千葉に入団が決まっている野洲高校の選手を応援に来ていたジェフ市原・千葉のサポーターが、大阪朝鮮高校に対してブーイングしたとの噂がネット上では流れているようだ(調べましたよ)。
ブーイングの犯人の真偽は別にしても、ネット上で流れる、大阪朝鮮高校選手たちに向けての差別的な言葉の数々。私は再びショックを受けた。
キミタチ、ジェフ市原・千葉のサポーターなんでしょ?

オシムの本、読んだんでしょ?

ジェフ市原・千葉の宝、世界サッカーシーンの生きる奇跡、オシム監督の本!
政治家や資本家のしかけた馬鹿げたナショナリズムに端を発した民族紛争。ボスニアの悲劇。ユーゴスラビアの分裂、瓦解。当時、ユーゴスラビア代表チームを率いていたオシム監督の苦悩、ジェフのサポーターなら、すべてわかっているはずじゃないか。
読んだんだろ?
民族問題がスポーツのように、

笛が鳴った途端にノーサイド

とは簡単にいかないことくらい、わかってる。
でも、人間、きれい事も大切だ。
少なくとも、想像してみることくらい、できるはずだ。民族融和の「ノーサイド型地球人」の世界を。
SFだよ、SF。SFに注目したまえ。
(ここでジョン=レノンの『イマジン』がBGMで流れる)。

私が大好きなサッカー監督のひとり、故・ロバノフスキーさんが、こう言っている。

「私(人間)はバカな人の数だけ対立を作っている。
(略)
そして誰かが“ ロバノフスキーは間違っている”と書きたてるだろう」

もう少しだけ柔らかい表現を使うと、知らない、という状態が、さまざまな対立を作っている。
でも、木村元彦著の『オシムの言葉』を読んだ我々は、すでに知っているはずだ。
あとは、ほんの少しのきれい事。
私はそう思っているよ。
『オシムの言葉』を読んだひとは、すべての無知と、無知から来る民族対立を拒否するはずだ。
……とまあ、こういうこと書くと、またメールがどっちゃと届くんだろうな。



『ウィスキー』映画鑑賞(2006.1.6)


ウルグアイ、海外公開初映画にして傑作との呼び声高かった
『ウィスキー』
ようやくDVDにて観賞。
いやあ、渋い。とまどうほどに、渋い映画であった。コメディタッチな予告編を映画館で観ていて、先入観があったものだから、余計に戸惑ったのだと思う。

小さな靴下工場を経営する初老の男ハコボ。そこで働くさえない女性マルタ。無口で、不器用で、友人もいないふたりは、靴下工場での日常をもくもくと繰り返していた。ところがそんなある日、遠くブラジルに住むハコボの弟エルマンがやってくることになった。ハコボはマルタに数日間だけ妻役をやってくれるように頼む。
というような冒頭のシーンを、山田洋次監督が撮ると寅さんになるのだが、『ウィスキー』は、

寅さんのいない寅さん映画

として淡々と静かに進行する。
無口で地味なハコボとマルタは変化を好まず、それでも生きていて、けっして石のような存在ではない。
映画的な華やかさやきらびやかさといったものと対極にある退屈きわまりない日常の、小さな心の動きや揺れといったものが少しずつ重ねられ、数えられていくなかで、何かが起きつつある。
何かが起きつつあるといっても、すべては水面下でのことであり、微妙なディティールの変化を認識できないハコボは、やがて、先頭集団から引き離されるマラソン選手さながらに、変化そのものについていけなくなりはじめる。
このあたりからハコボ、マルタ、エルマンの心の変化は相互に化学作用して多層化していく。とともに、奇妙なおかしみと苦味をもましていく。
どのシーンがおかしくて、どのシーンが苦いのですか?と問われても、ちょっと答えようがないような、作品全体を包むおかしさと苦みだ。
監督はフアン=パブロ=レベージャとパブロ=ストール。
収録されているインタビュー映像で確認したところ、おふたりは、めちゃくちゃ若い。この若さには驚いた。
世界は広い、人材は多い。
ひぐちアサせんせの
『ゆくところ』
あたりをこのふたりに映画化してもらえんだろうかと、そんなこともふと思った年初めでありました。



寝正月返上?*(2006.1.2)


今年も寝正月を決め込んで、餅食いながら天皇杯決勝でもテレビ観戦しようかとも思っていたのですが、いや、それではいかんと、家族で法隆寺まで歩くことにしました。
電車に乗って一駅の距離でございますが、おせちの腹ごなしにはちょうどいい距離だろうと。
これが証拠写真です。



証拠写真。


どこが法隆寺だって?
ほら。
溝江玲子の左肩の上あたりに小っこい法隆寺が。



法隆寺。


玲子の体力ではここまでが限界でありました。
玲子の2本の脚は、歩くためについているのではないんですよ。
遠くに見える法隆寺の影のようなものになんとか満足感を覚えながら、にっこり微笑む玲子の写真をご紹介できたことを、嬉しく思います。
人生結果がすべてではない。

チャレンジしたことが、大切なのです。

ロッキーのテーマが雄々しく聴こえてまいりました。
玲子の健闘にみなさまもどうか、惜しみない拍手をおくってやってくださいませ。



あけまして*(2006.1.1)


あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。


とか言いながら、この日記書いている時点で、年を越していないわけですが。
(;^-^ゞ
あと、もうちょっとだからいいよね。
今、第九を聴きながらそば食ってます。
クリスマス前後はずいぶん精神不安定になったのですが、何とか乗り越えた。
アア、生きてる。
なので、今年もGIFアニメ年賀状作りました。
トップページからも見れますが、こちらからもどーぞ。

GIFアニメページを開く

最近のMacは誕生日も祝ってくれないし、年始の挨拶もしてくれないそうなので、私が作りました、十二支アイコンパレード起動画面アニメ。十二支に入れなかった猫さんも仲間に入れてあげました。
どうぞ、ご笑覧下さい。


--☆

いきなりですが、新年アニメ情報。
宮崎駿大先生の息子さんがアニメ監督デビューするのだそうです。
作品は、
『ゲド戦記』
うああ〜、いきなり難しいのに手を出したなあ。
ファンタジーの傑作を三本あげろと言われれば

小説で『ゲド戦記』

漫画で『神戸在住』

映画で『東京物語』

だと私は答える。と、
「あんた、ゲド戦記は別として、その漫画と映画はファンタジーちゃうわ!」
即座に突っ込みが入るここは関西。
でも、小津の映画は究極のファンタジーだと思うよ。
あんまり力説するとアホと思われるのでこれくらいにしときます。
新年アニメ情報2。
ノルシュテイン御大のライフワーク
『街灯』
が、第一部として今年中にリリースされるそうでございます。
よっしゃあ!
今日まで生きのびたかいがあった!
よよいのよい。



コイズミさんからのクリスマスプレゼント*(2005.12.30)


コイズミ内閣からのクリスマスプレゼントが、24日に発表されましたね。

ジャンジャカジャーン♪ パフパフパフ! デロデロデロデロ♪
発表、2006年度予算の政府案。


『国民の負担増・2兆7千億円!』

げぶし!
さらに消費税も10パーセントにするそうで、そうなると、もひとつ

12兆円の負担増となりま〜す。

ワーオ!

♪税金さらにお高く14兆7千億円プラス。
♪生活必需品さらにお求めにくく14兆7千億円プラス。
♪暮らしに絶望が広がります14兆7千億円プラス。
♪『あゝ野麦峠』的ライフスタイル14兆7千億円プラス。
♪あなたの暮らしを妨害します14兆7千億円プラス。

ドコドコドンドン♪
コイズミ劇場!
ドコドコドンドン♪
コイズミ劇場!
ドコドコドンドン♪

♪ど〜する? カイカク〜♪ ♪ひとりでできた〜!♪
(レオタード姿のお姉さんがたが踊りだす)。
*増税は計画的に*

100円200円をけちって何とか暮らしているワシラにはどもならん数字ですな。
改革を止めるな! というわけで、びっくりビックなクリスマスプレゼント。
(;^_^ A
コイズミさんって、国民の納める税金を打出の小づちか何かとかんちがいしてるのか……。
国民の頭をごちんごちんとうちつけるとアラ不思議、お金がどんどんわき出てきま〜す。……てなちょうしだったりして。
うむ、これぞ、アインシュタインもビックリの

税金相対性エネルギー理論。

E(円)=mc(もっと苦しめ)の2乗という方程式で導かれる、地獄の鍋底の小宇宙論でございます。
コイズミ劇場フィーバーブラックホールに吸い込まれていくワシラのかせぎ。吸い込まれたが最後、一円たりとも戻ってこないブラックホールの威力。
(;∇;)
年末も年末、一年のどん詰まりに来て、来年に希望の持てない改革ニュースで
寒波どころかこれでは、氷河期ですヨ。
(^_^;)

日本の未来はオウオウオウオウ♪
おーさき真っ暗イエイ!イエイ♪ イエイ!イエイ♪

世界のニュースに目を映すと、これまたびっくり、

CIA22人にEUから共通逮捕状が出ておりますな。

あらまあ。

容疑は、テロ!



ぶっ!
またですか、アメリカの国際国家テロ。
(´▽`;)
なんでも今度のCIAは、国際法と各国主権を無視してイタリア在住のエジプト人の容疑者を

1.拉致
2.移送
3.収容
4.拷問

したとのこと。
(´▽`;)
秘密陰謀スパイ団体の皆さん、国民の税金を使って、なにやってんすか。
……つかさ、CIAといい、北朝鮮の秘密組織といい、どうしてこんなアホなん?
このひろいひろい宇宙の片隅で、度し難いアホさをさらす世界中のスパイ組織。
まあ、スパイとか陰謀なんかやってる人間の脳ミソだもんなあ、仕方ないかなあ。
となりのスーパーのエジプト人レジ係が怪しい、とか言いながら朝出勤すんの。なんてアホっぽいんだ。
彼らの理想像って、あれだぜ?

「ジェームズ=ボンド」なんだぜ?

(*ノノ) キャー
ワシなんか、ロジャー=ムーア(三代目の007)の顔がスクリーンに映っただけで吹きだしてしまう口だけど、スパイのみなさんは、アレにあこがれてるんだ。
考えてみれば、すごいよね。
ショーン=コネリーの胸毛がセクシーだとか言ってるんだよ、仲間内で。
ワワワ。
殺しの番号、とか、美しき獲物たち、とか、

ゴールドフィンガー

とかわけわからんことを言いながら、世界市民に迷惑をかけてんの。
いい大人が。
ともかく、イタリア在住のエジプト人を拉致&監禁&移送&拷問した22人の正義のアメリカ人は、心を入れ替えて禅寺で反省しなさい。



5人のオシムにさらに言葉を連ねて*(2005.12.28)


パソコン雑誌『MacFan』と『Macpeople』を購入したついでに、久方ぶりにサッカー雑誌『週間サッカーマガジン』を買ってみる。

『五人のオシム』

というコラム記事を目次に見つけたからだ。
チャイコフスキーの交響曲6番を聴きながら、いま読み終わった(個人的にはベートーベンよりもチャイコフスキーの音楽のほうに、より“運命”を感じるし、なによりも、あのメランコリックなオシムの表情にぴったりに思うのだ)。
オシム、というのは、サッカーJリーグ、ジェフユナイテッド市原・千葉の監督イヴィツァ=オシム監督のことだ。
私は、イタリアワールドカップのアルゼンチン対ユーゴスラビアの試合をテレビ観戦して以来、このひとの動向に注目しておってのう。
発売されたばかりの週刊誌の記事のネタバレはやめておこう。
実に読ませるコラム記事だった、とだけ、報告しておく。
イヴィツァ=オシム、こわいひとだ。
そして、震えが来るほど、偉大なひとだ。
世界一のレアル・マドリードのお誘いを断って、ここ日本でジェフユナイテッド市原・千葉という小さな球団を指揮している。
なんとも不思議なことよのう。
先日の日記でご紹介した本、木村元彦著の
『オシムの言葉』
が、ものすごい売り上げを記録しているようだ。
サッカー関係者はもちろん、サッカーのことはよく知らないという向きも、熱心に読んでいるに違いない。
この本は、イヴィツァ=オシムというひとりの偉大なサッカー監督に数日インタビューをしてそれをまとめた上で、日本のサッカー好きにだけ読ませて終わり、というような薄っぺらなものではない。
圧巻はやはり、ユーゴスラビアの分裂と、血みどろの内戦のくだりだろう。
他民族の共生、共存の象徴ですらあったボスニアが、極端なナショナリズムを背景とした民族紛争にまきこまれていく。
サッカーというスポーツはどういうわけか、

排他的な民族主義運動に利用されやすい

ようで、それは、ユーゴでの民族紛争のときも例外ではなかった。
プロパガンダとしてのフットボール。
当時ユーゴスラビア国の代表チーム監督だったオシム監督は、高々と積み上げられた民族間の憎悪の頂点で、考えうるかぎりの憤怒と敵対心にむきあわなくてはならなかった。
そして、その民族間の憎悪は、作られたものだった。……少なくとも最初は、国家とマスメディアによって作られたものだったのだ。
世界史とサッカー史が示す通り、ユーゴスラビア代表チームは内部から瓦解した。
積み上げられるだけ積み上げられた民族間の差別意識は、残忍さの石つぶてとなって、地域文化をそこに暮らすひとびとの心もろとも、破壊してしまった。
それは、歴史だ。
木村元彦さんは、歴史を振り返る中で、イヴィツァ=オシム監督が守ろうとして守りきれなかったもの、救い出そうとして救い出せなかったものを、きっちり浮かび上がらせてくれている。
だからこそのベストセラーなのだと思う。
……多くの、実に多くのひとが死んだ。
オシム監督は、それでも、できるだけやったのだ。
そして、何もかもが失われたわけではない。
オシム監督が何とか守りきったもの。
それは、教育者としての自身の姿、だと……。
教えること、育てること、助けること、大切に思うこと、そして極限状態のただ中で、

ひとがひとを守ろうとするその勇気そのもの。

それだけは、残ったのではないか……。
ああ、また泣けてくる。
死んだひとたちは、 けっして帰ってこない。
しかし、著者の木村元彦さんとは、どういうひとなのだろう。
ネット検索で調べてみると、こういう記事を見つけた。
イラク人質事件の、メディアの自作自演報道の真実についての、衝撃の報告だ。
木村元彦さん、なかなかいい仕事してらっしゃいますな!
この記事は、雑誌に掲載されたものの一部を
『おかしな報道には抗議しよう日記』
というサイトが紹介している、という形らしい。
木村元彦さんがどういう人物か、ぼんやりとわかった気がしましたよ。
木村元彦さんがイヴィツァ=オシム監督に魅かれ、一冊の本を書き上げるのは、これは必然だったのだな、と、そう思う



諸人こぞりてチンチンジャラジャラ*(2005.12.24)


クリスマス三連休のなかびに、スーパーマーケットで春菊と大根とエノキダケを購入。
クリスマスソングが店内に鳴り響くなか、サンタの帽子をかぶったお姉ちゃんにレジを打ってもらう。
サンタの赤い帽子をかぶったお姉ちゃんに、心の中で
「そうなった理由は?」
と問いかける。

♪も〜ろびと 〜こぞりて〜 たた〜えま〜せ〜り〜♪

讚えるって、なにを?
意味をたずねる子どもたちに見せて語るクリスマスの「幸福☆強力☆物語」と利益追求の「商業主義的義務」

パチンコ屋にいるような気分になるな。

チンチンジャラジャラ。
恋人たちのロマンチックな時間、人並みの歓び、あなたの人生の物語。輝かしさ、喜ばしさ、美しさ。
またしても私は、正しい問いをおこなう。
「そうなった理由は?」
なにもかもが、まったく手に負えない!

実に不吉だ。

クリスマスのまっただ中で恐怖に震え上がる私が、文化的落後者として聴き入る2005年クリスマスソングは、ベラ=バルトークの
『中国の不思議な役人』
だ。
おれっちって、結局、偏屈なだけなのかもな。
(;^-^ゞ
『中国の不思議な役人』は、舞台劇用の音楽を、演奏会用に組曲にしたものだ。
『中国の不思議な役人』は舞台劇だから、ストーリーがある。要約すると、このような物語だ。
町のならず者たちが、かわいい娘っ子を使って、通行人から金を巻き上げようとたくらんでいる。
娘が最初に引っかけた老人は文無し。ならず者たちに放りだされる。
次は気弱な青年。娘は彼に恋をするが、青年も文無しで、ならず者たちに放りだされる。
そのとき、お目当てのカモがあらわれる。中国の不思議な小役人だ。こいつはお金を持っている。
娘が中国の不思議な小役人を誘惑する。小役人は娘を追い掛け回す。そのとき、ならず者たちがあらわれ、小役人をスマキにして殺してしまう。財布の中身を数える悪党ども。しかし、そのとき、死んだはずの小役人の目がかっと開く……。死んだ小役人をナイフでなんども刺す悪党一味。今度こそ死んだ。
……うん? ……起き上がる死人!

おぎゃー! 『ゾンビ』かよ! いや、『四谷怪談』か!

逃げる娘。恐怖におののく悪党ども。
そのうち、

小役人ゾンビの体がエイリアンの卵のように青緑色に光りだし……。


(;゚;Д;゚;)


宇宙では、あなたの悲鳴は聞こえない。
21世紀の日本のクリスマスにぴったりの名曲だと思う。

大根を買ったあとは、本屋さんによって、月刊漫画雑誌
『アフタヌーン2月号』
を購入。
しかも2冊。
ひぐちアサせんせの
『おおきく振りかぶって』
の登場人物フィギアを2コ手に入れるためにな。
大人買いというやつだ。
無残きわまりない消費者だ。
ひぐちアサせんせの最高傑作は
『ヤサシイワタシ』
だと思っている私だけど、この連載中の『おお振り』もがんばっていただきたい。
そーそー。
遡ること約一ヶ月。
11月23日(水・祝)、新宿紀伊国屋でのひぐちアサせんせのサイン会。なんとカラスヤサトシせんせもおしのび参加していたのだそうだ。

二大スターそろい踏みか!

なんだかんだで偶像崇拝な私にはたまらん企画。
大阪でも是非やってほしい。
つーか、カラスヤサトシせんせの作品は単行本になるんですか!?
あふたぬんのカラスヤサトシせんせ作品を毎号切り抜きスクラップしている私。しかし、手が黒く汚れるんだよな。
それと、『神戸在住』がもうすぐ連載終了になるようです。
ありきたりの日常を描いているように見えて、じつは、この世のどこにもないパラダイスを描く

最高級ファンタジー作品

も、もうすぐ最終回か。
さびしいかぎりだ。



きたよ映画『コーポレーション』(2005.12.22)


昨夜は風が吹いて、雷が鳴って、雪が降った!
これで虹でもでれば異常気象のフルコースだったな。
雷鳴と雪。
シオドア=スタージョンにこういうのあったな。
あ、あれは雷鳴と薔薇だったか。
核戦争後の人類の終末を描きながら、それでも人間に希望を託す、ロマンチックな短編小説だった。

さて。
今年も数は少ないけど、いい映画をたくさん観た。
(*^▽^*)
来年もいい映画がめじろ押しのようで、実に嬉しい。
映画好きの皆さんのために、私が注目する来年度初頭の映画を語っちゃいましょう。

『ホテル・ルワンダ』
『ある子供』
『タブロイド』
『秘密のかけら』
『歓びを歌にのせて』
『コーポレーション』

あ、『ある子供』は、もう公開してるんだっけ? (;^-^ゞ よう知らんねん。
ダルデンヌ兄弟の新作だ。西洋文化圏の映画監督の中では、ルーカス=ムーディソンと並ぶ超ド天才だね。
ちなみに、ラース・フォン・トリアーも確かに天才かもしれんけどね〜。

あそこまで悪意たっぷりだと、どうも……。

いや、才能は認めるけどね。
(;^-^ゞ
え? スピルバーグ? ……ご冗談を。
『秘密のかけら』はアトム=エゴヤンの新作。『アララトの聖母』を撮った監督だ。
『タブロイド』はメキシコ映画。最近は南米もいい映画撮るからな。期待大。

「コロンビアとエクアドルで実際に起きた、2件の連続殺人事件から着想を得たサスペンスフル・ドラマ。
豊かな大自然を有する一方、先の見えない貧困と1.4時間に一人が命を狙われるという過酷な状況下にあるエクアドルを舞台に、人間が持つ悪魔的な二面性を鋭く切り取っていく。
スクープ欲と倫理観の狭間で揺れ動く、TVクルーの葛藤も軸になっており……」

という引き文句。

おもしろそ〜!

『歓びを歌にのせて』はスウェーデン映画。
『ホテル・ルワンダ』は、日本上映署名運動がおきたといういわく付きの映画。運動のかいあって、見事上映決定! ええどええど〜。
とどめは『コーポレーション』!
きたよ、日本公開きたよ!
推薦人に
☆マイケル=ムーア
☆ノーム=チョムスキー
☆ナオミ=クライン

マジかよ、すごいな、おい!

「俺は人々がこの映画を観て、
立ち上がり、行動すると信じている
世界を我々の手に戻すために」
マイケル=ムーア

「民営化とは、公共機関を善良な人に譲ることではない
専制政治へそれをゆだねることです。」
ノーム=チョムスキー

む! ルールールールー! 予感です! 見ごたえたっぷりな映画の予感がします。
この映画は、企業を一人の人格として「精神分析」するところから始まるそうだ。その診断結果は……。

【サイコパス】(*`ε´*)

サイコパスとは、精神病質者のこと。
現在サイコパスという言葉は無く、反社会性人格障害(APD)と変更されている、のだそうだ。
サイコパスの特徴は極端に
自己中心的
で、
慢性的な嘘つきで後悔や罪悪感が無く冷淡で共感が無い。
加えて
自分の行動に責任が取れない。


いや、当然の診断結果だと思うよ。つーか、それが企業だよな。
文化人類学者、環境運動家の辻信一明治学院大学国際学部教授は、こうおっしゃってる。

「これ(映画のこと)は日本人のためのモーニングコールだ。民営化の「民」と民主主義の「民」とは別物。利益のためには、環境破壊や戦争も仕方がないなどという「企業による専制政治」に、本当の「民」の力を集めて抵抗しよう。」

ワシも日記で書いただろ、連中の「官から民へ」の「民」とは、「民草」ではなくて「民間企業」のことなんだよな。
いま調べたら、東京では上映が始まっているようだ。
なにい。
東京在住の映画ファンに次ぐ、すんごいのやってますよ!

☆--
某極東国のコーポレーションの活動例。
ルートキットというトロイの木馬の一種を使って、ソニーの音楽CDを購入したユーザーをコントロールしようとしたのだな。

ユーザーがあずかり知らぬところで。


「ソニーBMG社のとった手法の問題点は、悪者に利用されかねないということではなく、同社が自ら悪事を働いたところにある。」

というところが、いっちばんの問題なんだな。

「56万8200台のDNSサーバーがソニーのDRMサイトのアドレスを知っていたのだ。人々がそのサイトを訪れる理由は他にはないことを考え合わせると、これらのDNSサーバーの背後にはXCPによって改竄されたコンピューターが1台以上存在することになる。」

しかし、

「(米司法省は)ソニーを起訴するつもりはないだろう……。コンピューター犯罪で大企業を訴えたことは、これまでにない」とグラニック氏。

とのことです。
ワーオ! ステキなコーポレーション!



映画『亀も空を飛ぶ』観賞(2005.12.21)


映画を国籍で語ることは出来ないが、どういうわけか、

イラン映画は最高だ。

本物の映画を観たければ、イラン人監督の撮った作品を観れば、まず間違いがない。
実にすごい現象だと思う。
ハリウッドが、一部の例外を除いてゴミ屑のようなだめ作品しか作れないのも、ある意味すごいと思うが。
(;^-^ゞ
どうせお金を払って映画を観るなら、本物を観たいと思う。だから、イラン映画を観る。
今回観賞したのは、バフマン=ゴバディ監督の
『亀も空を飛ぶ』
という映画だ。
ただいま全国で公開中の映画だから、ネタバレはすまい。チラシに書かれたサワリを紹介しよう。

「舞台は2003年春、イラク北部クルディスタン地方の小さな村。イラン・イラク戦争、湾岸戦争などで荒廃したこの地方に、再び新たな戦争が始まろうとしている。大人たちはアメリカ軍の動向を知ろうと、衛星放送を受信するためのパラボラ・アンテナを利発な孤児の少年サテライトに買いに行かせる。彼は近在の村々を巡る便利屋として大人たちに重宝されている。またこの村では、子どもたちが地雷を掘り出して国連の出先機関に買ってもらっている。サテライトはこの仕事の元締めもしていて、掘り出した地雷の値段交渉から、地雷除去を依頼する地主たちとの交渉までを一手に引き受けて、子どもたちから慕われている。この危険な仕事で子どもたちが得るわずかな金は、大切な現金収入なのだ。
(略)
ある日サテライトは、ハラブジャから来たという、赤ん坊を連れた難民の少女に恋をする。かたくなに心を閉ざす彼女には、両腕のない兄がいた。米軍の侵攻が刻々と迫る中、サテライトは彼が予知能力を持っていることに気付く…。」

少しだけ解説すると、イラク北部クルディスタン地方の小さな村とは、トルコ国境に面したクルド人の村だ。フセインに迫害され、隣国トルコからはクルド文化の存在をすら否定されている少数民族の集落だ。
イラクという国のどん詰まりに押し込められたまま、背中にトルコ国境線の鉄条網を背負いつつ、今日という日を生きのびる子どもたちの物語。
少年サテライトは、アメリカが自分たちを救出しに来てくれる日を待っている。アメリカ軍が進攻してきて、彼らから染めたのではない“本物の金魚”を手に入れたとき、
「なんて奇麗なんだ」
と彼は感嘆する。
しかし、“本物の金魚”はけっして本物ではなかったのだ……。
またサテライトは、世界中の銃弾の薬きょうをヒモでとおした首飾りを購入して、大喜びする。
「インターナショナル!」
アメリカ製の銃弾、ソ連製の銃弾、トルコ軍の銃弾、英国軍の銃弾、テロリストの銃弾……。さまざまな形式の銃口から発射される銃弾の首飾り。

「インターナショナル!」

と何度も少年は叫ぶ。
世界から見捨てられて、すべての銃口に取り囲まれていることに気づかずに、無邪気に笑う子どもたち。

ネタばらしはこれくらいにしておこう。
とてつもない映画だった。
エンドクレジットが流れ出すのとほぼ同時に、隣で観賞していた弟が嗚咽を洩らして号泣しだしたのには驚いたが。
(;^_^ A
亀も空を飛ぶ。
そんなはずはない。
亀は空を飛ばない。
ここではないどこか遠くに飛んでいくための翼など、どこにもない。
もしかしたらアメリカ合衆国は空を飛ぶかもしれないが、亀は飛ばない。

先進諸国のひとびとの生きる悲しみをすべて肩代わりして、子どもたちは背中を押しつぶされたまま進む。

たまたま先進諸国に産まれた私たちは幸福な消費者でなくてはならない。そのときそのときの気分を満たしつつ、限度いっぱいまで幸福な人生を送る、それは私たちの“権利”だ。私たちは徹底的に幸福になる権利があるし、また、そうでなければならない。市場経済社会を維持するために、だ。
私たちひとりひとりが内側に抱えもつ「生きることの悲しみ」は、どこか遠い紛争地域の、名もない子どもたちに丸投げしてしまえばいい。
ここ日本では、塾の講師が生徒の子どもを殺してしまうというような事件も起こる。生きる悲しみは、私ではない誰かが背負うもの。
今回はたまたま、イラクの子どもたちではなく、塾に通う日本在住の日本国籍の子どもだっただけのことだ。
この世界は勝者と敗者のふたつに切り裂かれる。勝者の生きる悲しみは、消費する快楽、所有する満足感に打ち消される。生きる悲しみは、濃縮されたのち、無理を極めた形で社会的弱者を問答無用で押し流していく。
生きる悲しみから目をそらして過ごす、ちょっとした気晴らしの日々。
人権という言葉を聞いて私たちが脳裏に思い浮かべるのはそういう日常だ。


バフマン=ゴバディ監督のインタビューから。

「この映画がイランのイスファハンの児童映画祭で上映されたとき、子どもたちを招待しました。
(略)
映画祭の上映で、彼らは初めて自分たちの姿を見たのです。私はそばで彼らの顔をずっと見ていましたが、彼らは自分の映像を見て泣きながら笑っていました。それは、言葉にできないくらい、世界で一番素晴らしい表情だと思いました。
(略)
自衛隊はずっとイラクにいても、ひとつも文化的な活躍は見られません。逆に、私が見たところでは、韓国の軍隊、兵士たちは、歩きながら学校を造っていく、一ヶ所に留まらず、文化的なことも考えて文化祭などもしてくれます。(略)残念ながらそういう動きは、イラクにいる自衛隊には見られません。」

イラクの石油と、他国に軍隊を送り込む前例作りのために我が国の軍隊は派兵されているのであって、その他の仕事は一切しませんよ、はい。
正直だなあ、日本人は!



フィリップ=トルシエ、とっくにお見通し(2005.12.18)


私の行動としては珍しいことに、図書館で本を借りてきた。
フィリップ=トルシエの
『情熱』
という本だ。
4年前のサッカー日本代表チーム監督が記した本を、今さらながらに読んでみたわけだ。
来年はワールドカップ開催だしね。
私は、彼のコンセプト重視のサッカーを高く評価していたし、今も高く評価している。
白状しよう。

そうだ、私はフィリップ=トルシエのファンだ。

とりわけその攻撃的な姿勢、斬新で革新的な守備戦術に、つきることのない興味を抱き続けてきた。
ちなみに、サッカー観賞における私の関心は、その論理、言語的側面にあるらしい。したがって、私が好きなサッカー人は、ジダン選手でもベッカム選手でも中田英寿選手でもなくて、トルシエやオシムやサッキといった監督たちのほうだ。
監督たちが自分たちのチームをひきいて、なにをやりたがっているのか、何を実践しようとしているのか。勝利という結果を得るために、というのは当然だとしても、それだけではなにも面白くない。結果を得るだけなら、じゃんけんで十分だ。私は、サッカーチームの語る言葉を聞きたいと感じてる。トルシエのチームが試合をするときには、その試合ごとに、はっきりとしたテーマがあった!

今日の試合のテーマはなんだろうか?

試合開始前は、彼が何を実践したがっているかを推測するのが何よりも楽しかった。
そして、トルシエのサッカーは、新しかった! 理論的なだけでなく、その戦術はきわめて個性的だった。サッカーの新しいやりかたに触れる喜び!
もう一度あの感動に浸りたいという想いが、私をして、図書館の本を借りるという行為に走らせた。
(;^-^ゞ
しかし、内容はというと、サッカーの戦術理論についての記述はほとんど皆無といっていい状態で、まあ、そんなものだろうなあという感想だ。
(;^-^ゞ
プレッシング理論や独特の右サイドの動きというような話を書いていたら、専門家しか読めない本になっちゃうからね。
私が望んでいた内容ではなかったわけだが、トルシエは、日本のマスメディアのありかたについて、ちょっと面白いことを書いている。

「マスコミの大半が、教育的な役割を果たすよりも、センセーショナルな情報をもたらす結果になっている。商業主義の追求が、現実を誇張し、歪曲してしまうのだ。

「マスコミは情報を与えるというより、読者に気晴らしを与えているのだ。」

う〜む。
私が最近、日記で書いていることなんて、フランスからやって来たサッカー監督はとっくの昔にお見通しだったというわけか。
日本のマスメディアは、情報を与えるというより、読者に気晴らしを与えるために存在している。
日本国民は、自分の気分に最大限の注意を払いつつ、限度いっぱいまで幸福になるために、大量に消費しつづける消費者でいなければならない、と、日本のマスメディアは言う。
そう、あくなき商業主義の追求が作りだす、歪曲した現実だ。
……日本の正体、見破られたり。



牛とビジョン(2005.12.14)


米国産牛肉の輸入再開が決定。
多くの米国民が食って、脳みそスカスカになっているあのプリオン肉ね。
輸入のさい、ちゃんと検査するんだろうね、と訊ねると、ちゃんと検査するんだそうだ。
なんでも、“アメリカ政府の証明書を検査”するんだと。
ぶっ!!

アメリカ政府の証明書を検査してどーするよ、肉を検査せえよ!

……肉を検査するわけにはいかんわな、病気がみっかっちゃうもんね。
検査しなければ、病気であるかどうかはわからない。だから、アメリカ政府は、牛のお肉の検査は、

目でしかしてないそうです。

どはー。
日本では、そのお肉に貼られた証明書シールの検査をするのだという……。

♪ランランラン♪
♪脳みそスカスカ楽しいな♪
♪今日も残さずいただきま〜す♪

牛海綿状脳症で国民の脳みそがスカスカになろうが、ようは牛を売ってお金もうけができりゃいいのだ。
緑十字社の血液製剤でエイズが広まったときとおんなじ。
この日本では、金もうけたやつが偉いのよ。輸血したりお肉を食べたひとびとは、痛みに耐えて構造改革の礎として死んでいただきますよ〜と。
病気の血液製剤や牛の肉を売っていることがばれても、ぜんぜん平気、平気。裁判でも無罪になるよ。
予言しちょいちゃる。
アメリカ産の牛の肉を食って、脳みそがスカスカになってから裁判を起こしてもだめなの。
「アメリカ産牛肉との因果関係は認められず」
と言われておしまい。
プリオンお肉を国民が大量に消費することで、市場経済が健全に運営される。
全ての人間的価値は貨幣の排泄物にしかすぎない、と私たちは決めた。
決めたから、そのように社会を運営する。このような社会においては、

アメリカ産の牛肉を輸入しないほうが、犯罪的となるのだろう。

私たちが、アメリカ産の牛肉を事実上無鑑査のまま受け入れることによって、大量の貨幣が生み出される。明日の日本を支える私たちの健康、などというものは二の次だ。

お金、お金、チャンス、チャンス、業績アップ。

私には、脳を侵されて歩くこともままならなくなったひとびとの姿が見える。
しかし、別の少数の人々は、私よりもさらに先が見えるのだ。
彼らの言う“ビジョン”だ。
そう。
病で苦しむひとびとの向こうに、巨大な貨幣山が。



能力と人間(2005.12.10)


イラクへの自衛隊派兵は、もう1年延長されることに決定。
1年、もう1年と、延々と居座るつもりなのはわかってるよ、イラクの石油がからっぽになるまではな。
イラクの石油は、イラク国民の財産だ。とは、わしらはこれっぽっちも考えない。私たちにとってのイラク国民とは、大切な石油に群がるテロリストどもだ。

イラク国民から石油を守るために、わしらは戦車を出動させる。

日本国民の一人として、イラク国民に心から謝罪させていただきます。

ごめんなさい。

今、日本では、金もうけのためなら何をやってもよいことになってるんだよ、イラクのみなさま。
30歳代の正社員はどんどん解雇。仕事も覚えた、働き盛りだ、でも解雇。
なんで?
企業とすれば、新入社員に同じ仕事をさせたほうがお給料の支払いが安くすむからな。安いが一番、で、30歳代の社員はリストラされるの。
会社は、労働者に初任給でお仕事をさせつづけることができるわけ。これを日本では

「能力主義」

と呼ぶ。
ぷっ。
会社ごときが、人間の能力をうんぬんするなど言語道断。つーか、人間あっての会社だっての。
30歳の誕生日を迎えたあなたに、会社は言うだろう。
「ハッピーバースデー。あなたのように能力の足りない人材は、うちの会社には必要ありません。辞めていただきまっす」
俺は熱血社員だから関係ない、とあなたは言う。
大丈夫、あなたが思っているほどには、あなたには能力がない。いやほんと。
(;^-^ゞ
みんなうぬぼれすぎ。
能力、ないない。

能力がある人間がたくさんいたら困るだろ、そのぶんよけいに会社が給料払わなくちゃいけなくなる。

会社の業績アップのために、私も負け組、あなたも無能力者。
ぶっちゃけた話、能力のある人間を求めてなんていないのよ、会社は。

必要なのは、無能力者、負け組のほうなの。

無能力者のあなたがせっせと働くだろ。それを勝ち組の連中が「ひどい仕事ぶりだ、会社の業績にマイナスだ」とかなんとかケチつけて、取り分をぜんぶ巻き上げるの。
負け組というレッテルを貼られた人間はどんな目にあっても仕方がない、どんな辛い目にあわせてもかまわないというのが日本の能力主義の実態だから、あなたの手元にはなにも残らない。
自分自身を勝ち組と自称する“能力のある者ども”が、がっぽがっぽ儲けるためには、あなたは身ぐるみはがされるしかないんだよ。
彼らを幸せにしてあげるための社会システム。

「来たれ無能力者という名の多数派よ! 社会はあなたたち負け組を求めています!」

(;^-^ゞ 社会ってなんだろうな、って、日本に住んでると思うよ。

☆--


すんごく面白い本を発見。
木村元彦著の
『オシムの言葉』
だ。
―フィールドの向こうに人生が見える―
というサブタイトルがついている。
フィールドとは、サッカーを競技するためのフィールドのことだ。オシムさんは、サッカーの監督さんだ。今は、日本のJリーグで、ジェフユナイテッド市原・千葉というチームの監督をなさっている。
イヴツァ=オシムという人間をまったく知らない人は、―フィールドの向こうに人生が見える―というサブタイトル、そして『オシムの言葉』というタイトルを、少し平凡かなと感じるかもしれない。
実はサッカー界では、イヴツァ=オシムが語るひとことひとことが、注目のまととなっている。サッカー関係者、競技者、そして私のようなファンは、今日オシム監督は何を語ったのかを知りたがる。
『オシムの言葉』というタイトルの本が出版されるときくと、一も二もなく本屋さんに走って購入の予約をするのだ。
オシム監督は、サラエボの産まれだ。

そう、あのサラエボだ。

ユーゴスラビア代表監督として、世界中を驚愕させるミラクルチームを作り上げながら、民族紛争に巻き込まれて崩壊していく経過も、この本には赤裸々に記されている。
最近の日本でも急速に台頭している極端な民族主義、土着的な極右思想の行き着く先が、1395日間続いたサラエボ包囲戦だ。
極限状態がつづく中で、人間の能力、言葉の力を信じる姿勢をつらぬき続けるオシム監督。
ユーゴスラビア代表チームが他民族混成チームであるにもかかわらず、勝利をめざし一丸となって、みごとに機能していることを実証することによって、

オシム監督は、ファシズムと暴力をおしとどめようとしたのだ……。

……読んでいて、泣けてのう。
(ρ_;)
人間って、かくも気高くあれるのか。
オシム監督の理想、他民族友愛のサラエボは地獄を体験した。
ユーゴスラビアはたっぷりと血を流した揚げ句、分裂した。
悲しみと、憎悪と、過激なナショナリズムを傷跡として残して。
それでも、サラエボのひとびとは、みなオシム監督の帰りを待っている。
困難を乗り越えて、もう一度、何か美しいことをはじめるために。

「(壊すのは簡単)でもね、

作り上げることのほうがいい人生でしょう? そう思いませんか?」

オシム監督がそう語るとき、それはサッカーだけの話じゃないんだね。
おら、また泣けてきた。
(ρ_;)
この『オシムの言葉』は、すっごい人気で、ただいまどの書店でも品切れ中のようだ。
増刷を待って、書店にGOだ!



おめでとう(2005.12.3)


ワシって、どうしてこう、何やらしてもとろいんだろうか……。
時間だけがすぎてゆく、やることいっぱいになっていく。
パニックだよ、ほとんど。
もう泣いちゃおうかなあ。
などとぶちぶち考えていると、お友だちの夫婦からメールが到着。
なんと、女の子を無事出産なさったとのこと。

おー!

"o(^▽^)o ご出産おめでとう!



うちの赤ちゃん用オリジナルブックをよろしく

なんちて。(;^-^ゞ
なんか、こう、気分が浮かれてきますね。
コイズミさんの大改革で日本はどんどん借金まみれ、ひとびとの心は荒む一方ですが、この子が生きていけないような日本にしてはいけませんな。
そのためには、わしら大人が、もーちっとがんばらねばならないようです。
……頑張るの苦手なんだよね。
(;^-^ゞ


☆--

家族全員ひっくるめてお世話になっているYさんが、北欧旅行にお出かけになられた。ノルウェー、フィンランド、デンマークだと。あー、いいなあ。
お土産は何がいい、と聞かれたので、

「絵本」

と答えました。
お土産なんていいですよ〜、とはけっして言わないんじゃよ。
Yさん、楽しいご旅行を。
……。
時間に急かされて日記を書くのって、な〜んか、ツライ。
あ、そうだ。
ケン=ローチの
『やさしくキスして』
がDVDになって発売されるそうだ。

よ〜し、生きる気力がわいてきたぜ!

更にステキ情報。
楳図かずおセンセの傑作漫画
『おろち』
が再販される模様。
当然だ。
楳図かずおセンセの作品は国民の宝なのだから、絶版にするなど、とんでもない。
日本の漫画界の歴史の中で天才と呼べるのは、手塚治虫大先生をのぞけば、あとは楳図かずおセンセただひとりだと思う。
加藤伸吉センセは、三人目の天才になる可能性があると思うんだけど、どうだろう。
更にオトク情報。
ミニシアター系で上映される
『コーポレーション』
という映画が、面白そうだ。

マイケル=ムーアやノーム=チョムスキーのはなまる推薦印あり、

って聞いただけで、見逃せるか!という気になるじゃろ?
これは、観ないとな。
あ、そうそう!
梅田ガーデンシネマで、バフマン=ゴバディ監督の
『亀も空を飛ぶ』
が上映されていたのだった。
うえ〜ん、観たいよう。
おいら、ものすご、泣き言が多い人間なんだよね。
うえ〜ん、うえ〜ん、観たいよう。



モータ・サイクル・ダイアリーズ・ダイアリー(2005.11.29)


西谷文和さんが『イラクの子どもたちと憲法9条』の講演でも使用されていた映像DVD
『戦争あかん』
が手元にある。サブタイトルは『イラク--放射能を浴びる子どもたち』。
忙しくてなかなか観る機会がなくて……というのはウソだ、恐ろしさに、観る根性がなかったのだ。
西谷さんはおっしゃってる。

「戦争で兵士だけが犠牲になるのなら、まだ話の筋は通ります、しかし実際の戦争では、兵士の何十倍、何百倍もの罪のなき人々が殺されていきます。特になんの罪もない子どもたちが」

へー、大変だねえ、と私たちは言う。「兵士の何十倍、何百倍もの罪のなき人々が殺されてい」くという言葉の重みをしっかりと受けとめる共感力を、人間は持ちえていない。
井上陽水のあの歌そのままだ。

♪都会では自殺する若者が増えている
今朝きた新聞に書いていた
だけども問題は今日の雨 傘がない
行かなくちゃ 君に逢いに行かなくちゃ♪

しかし、映像の説得力は、格別ですよ。「兵士の何十倍、何百倍もの罪のなき人々が殺され」てるというのは、やはり、雨が降ってるのに傘がないなんていう問題よりも何百倍も重大だっつうことに気づかされる。
映像というものの高い記録性に完膚無きまでに説得されるために、私はこのDVDを観た。
よろしかったら、皆さまも御覧になって下さい。
身体にくるけどな。


☆--

ずいぶん以前だが、
『モーター・サイクル・ダイアリーズ』
という映画を観た。
観て、それっきり感想文を書いていない気がする。
いや、書いたかもしれない、ちゃんと覚えていない。最近、物忘れがひどくて心配だ。
そもそも感想を書かなくちゃいけないというものでもない。
映画の内容は、革命家チェ=ゲバラの若きころの南米旅行記を、なるべく忠実に映像化したというものだった。
映画が始まって5分もたたないまに、腕のある監督が能力をフルに発揮しつつ真面目に作った作品だということがわかってしまう。
「へえ、アメリカにもまだこんな映画を撮れる監督がいるのか!」
と驚いたのだが、実は、監督はブラジル人だった。
……納得(笑)。
ゴータマ=ブッタからキリスト、そしてチェ=ゲバラまで、革命家の連中は、人間が人間を所有する生き方を否定する。人間が人間を所有する生き方を否定すれば、貨幣経済社会と鋭く対立するという結果を招く。
貨幣経済社会は人間的価値のすべてを貨幣の排泄物とみなすことで成立しているのだから、人間が人間を所有する生き方を革命家たちが否定すれば、当然、社会全体をも真っ向から否定することになる。
そうした生き方を革命家たちが選んだことによる社会的結末として、ゴータマ=ブッタもキリストもチェ=ゲバラも

例外なくフーテンになる。

喘息持ちのアルゼンチンの若者が、自らの聡明さ、誠実さといった気質に忠実であろうとするとき、ひとりの偉大なフーテンが誕生する。
フーテンは文無しだから、他者に与えるものはいつだって自分自身でしかありえない。いつだってどこでだって、自分自身を与える用意のできているフーテンが、いわゆる革命家だ。
コイズミさんのような人物を革命家と呼ぶのは、もちろん間違っている。
彼自身の言葉を借りれば、

「ぶっつぶし屋」かな。

ともかく。
教会にキリストはおらんのよ。
国会議事堂にゲバラはいない。
大阪城公園の青テントや、新宿の地下道のダンボールのなかで暮らしている。彼らを見つけたければ、そこに行きなさい。と映画は語って、美しく終わる。

☆--

長らく絶版状態のままだったシオドア=スタージョンの伝説の短編集
『一角獣・多角獣』
が再販された。
中古書店で6万も7万も支払って購入する必要がなくなったわけだ。
いいことだ。
カート=ヴォネガットとシオドア=スタージョンの小説は、手に入るものはすべて読んでおかなくてはいけない。
傑作短編『例え世界を失っても』は、完全版が収録されるのだろうか?
初版が刊行された当時は、性的なタブーを題材にとったという理由でカットされてしまった超傑作SFだ。
愛を描いて、スタージョンに並ぶ作家はなかなかいない。
何とか対抗できるのは、P=K=ディックの
『流れよ我が涙と警官は言った』
それに、楳図かずお大先生の
『わたしは真悟』
くらいか。
とにかく、

「将棋の終盤は村山に聞け、愛はスタージョンに聞け」

ということわざがあるくらいだ(ないない)。
今度は、『コズミックレイプ』も再販されたし。お願いします、早川書房さん。
(;^-^ゞ


☆--

漫画も読む。
ひぐちアサせんせの
『おおきく振りかぶって』
5巻と、風呂前有センセの
『ぺし』
1巻だ。
時間が無くなってきたので、結論だけ書くが『ぺし』は傑作だ。もっと高い評価を受けてしかるべきだと思う。
ひぐちアサせんせの『おおきく振りかぶって』は、もう何も言うことはない。
私はひぐちアサせんせの全作品を愛しているのだ。愛は盲目だ。したがって何も語る資格はない。
『おおきく振りかぶって』5巻の帯には、トレーディングカードのプレゼントのお知らせが告知されていた。応募者にもれなく、だという。
携帯電話で、QRコードから応募のための形態、じゃない携帯サイトにアクセスしろと書いてある。

ちょっとまてい、携帯電話を所持していないヤツはどーなる!

そうだ、私のような人間のことだ。
そもそも、

あの意味不明で不吉なドット絵、

QRコードてのはなんなんだ。
サイトのアドレスくらい、書いてくれればいいじゃないか、ちくしょう。
……あ、仕事に戻りマス。




*ジャポンの外側(2005.11.26)


最近、ちょっとだけ忙しくなりまして、サイトの更新が滞っております。
ワシ、やることなすこと、遅くてなあ。あらゆることがまったく前進せぬままに、時だけが過ぎるという……。
(;^_^ A
けっこう、あわあわ状態の日々でございます。
などと言いつつ、
「世界にはメディアの数だけ視点がある」
がウリ文句の雑誌
『クーリエ・ジャポン』
が創刊されたというので、ちょっと立ち読み。
(;^_^ A
海外のマスメディアが日本という国をどのように眺めているかを、雑誌1冊でひととおり俯瞰できるというわけだ。
なになに。
フランスの日刊紙、ル・モンド紙はかく申しております。

「コイズミに洗脳された日本人」

……(;^_^ A

コイズミ劇場の勝利と報道しているが、現状分析はそっちのけで、政治家のキャラクターやキャッチフレーズばかりが脚光を浴びる……」

ねえ……。
(;^_^ A
フランスも、移民に対する差別や暴動の問題で揺れに揺れておるわけで、あんまりえらそうにもできないはずだけど、まあ、フランスに限らず、ヨーロッパのマスメディアが見た日本という国の評価は、このような感じなのであります。
もちろん、コイズミさんに言わせれば、フランスやドイツやロシアの新聞も

「抵抗勢力」

の一派ということなんだろうな。
国の借金を月5兆円ずつも増やしておきながら
「悪いのは、改革をせき止める抵抗勢力」
と言ってりゃいいのだ。
そもそも、抵抗勢力とはどのような勢力なのか。そんなことすら、きっちり検証されないままだ。抵抗勢力という言葉の持つイメージだけが、テレビや新聞の報道によって、国民の心にすり込まれていく。
コイズミさんやテレビ・新聞にとって都合が悪い考え、あり方、方向性といったものすべてをじゅっぱひとからげにまとめたのち、それを

ひとことのもとに非難するためのイメージ言葉が、“抵抗勢力”だ。

あれも抵抗勢力、これも抵抗勢力。
何度も何度もくりかえすこと、大量に流賦させること、それによって、より良い明日を実現させようとする派と、それを押しとどめようとする派という関係を無意識にイメージさせる。

「コイズミに洗脳された日本人」

と、フランスの新聞が書くのもむべなるかな。
でもな、本当のことを言うと、日本国民を洗脳しているのは、あのかたではなく、テレビを中心とした日本のマスメディアなんだよな。
あのかたは、公人としてまともな日本語も話せないひとですよ、本当のところ。
しかし、そんな人物でさえ、テレビや新聞が持ち上げれば、いきづまった日本を救う救世主ということになってしまう。
彼が何をしたか、何をしようとしているか、それは問題ではない。テレビが彼を認めたかどうかだけが問題なんだよね。
ワシラはテレビで世界を知って、そして選挙に赴く。他の時間は仕事してるか、もそもそメシ食ってるか、寝ているか。そうした時間の経過の中に、気休めとも気晴らしとも言えないような、マッチ売りの少女がマッチを灯すかのごとき、むなしさ極まる消費のいっときがある。成人した日本国民の暮らしとは、このようなものだろう。
ともかく。
私たちが誰を支持し、どの政党に投票するかは、テレビ次第だ。虚構としての日本大改革を、フィクションの安寧の中で、どうしようもなくなる瞬間まで受け止め続ける以外に術はない。
ジャポンの内側で暮らすとは、こういうことだ。


☆--

22日に自民党の立党50年記念大会で、来賓として招かれた演出家の宮本亜門氏の祝辞が傑作だった。

「住民の一人として、残念ながら今の沖縄の基地問題については理解できません」

「コイズミさんは『ぼくはラブロマンスが好きなんだよ』と言っていた。
(だけども)
ラブロマンスはテロリストや年金生活者にもあるが、国民ひとりひとりがどんな生活をして、どんな痛みを持っているかを考えていただきたい」

祝辞といよりも、批判だよなあ、これは。
(^_^;)

国民ひとりひとりがどんな生活をして、どんな痛みを持っているかを考えていただきたい

いくら言っても変わらんよ。亜門さん。
こいつらに投票したわしらが悪いんだと思う。



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