風呂あがり


風呂あがり 夜の十時十五分過ぎ

彼女は苺のヘタをとって実をガラスの器に落としてゆく
いち、に、さん、し、ご、ろく……
苺が六個
その上に牛乳をそそぎ入れる
それから
ニャンコの皿にも牛乳をそそいであげよう
「ナー」
と言ってニャンコがくるぶしに身体をすり寄せる
「いい子」
彼女は言う
彼女は椅子に座り
いま苺を食べようとしている
幸福のことなど知らぬふりをして

どこかでコオロギが鳴いている
バイクが近くを走る




2001年9月29日

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