あなたの言葉を思いだしてみる



見捨てられてここにいるのだと感じたりせずにあなたは生きてみたがっていた
つまびくギターの弦のようにすべてがむき出しなまま
二十四時間サイクルの二十一時
冷蔵庫の動作音にも似た奇妙なわずらわしさを残しつつ出会うたび
ありとあらゆるものを望んでいるように他人には見えただろう
あなたの言葉を思いだしてみる
「風邪が流行っていますね」「雨はいやですね」

だけどあの時
あの一日
あなたの瞳に映し出されたものにあなた自身が勇気づけられ
無邪気にふりかえった顔しか思い浮かばないよ
どうしても

沈黙した電話は生きている
ツーツーツー
あなたとは無関係なまま

ときおりの自笑とともに沈思しつつ
消えていく時間の中で
あなたのたったひとつの願いどうにか叶えてあげたいね






2003年11月6日

ポエムマンガに戻る/ホームに戻る