すけーとねこ【スケート猫】
          長靴をはきたがるだけが猫ではない。
          ロシアからラトビアにかけてのバルト海沿岸地域において、スケートする猫をときたま確認することができるという。
          リトアニアのヴァイオリン弾きが少年時代に見た猫どもは、赤いスケート靴をはき、氷の上でネズミを追い立てて遊んでいたということだ。逆立ちしたり、回転したり、優雅なものであったのだろうが、木の陰に隠れてのぞいていた少年には、逃げ惑うネズミたちの生死だけが心配だったという。
          猫は、エイドリゲビシウスの絵からそのまま抜け出してきたかのごとくに、石のように冷たく月のように丸い目をしていたとのことである。
          