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韓国女一人旅(2)

 

ご飯はお匙で食べるのだ!

韓国へ到着したその日、折よくフードジャーナリストの高ヒョンミさんの取材についていくことになった。フードの取材なので、もっぱら食に関係のあるところになる。取材先の磁器研究家の先生は、ヒョンミさんの取材が済むと、私たちを食事にお誘いになった。韓国の人たちは、とにかく一緒にご飯を食べるのが好きみたいで、こののちも、誰かと会えば、必ず「ご飯を食べに行きましょう」と私は誘われることになるのだった。

長いお箸とお匙で「韓国流」の食事を楽しむ筆者

それはさておき、韓国でのご馳走はどのようなものか、今夜は私の初味わいなのである。興味津々で私はヒョンミさんたちの後からついていった。総勢6人である。
レストランに入ると、土間になっているところから板敷きに上がるようになっている。椅子ではなく床に座るのだ。日本では、座敷きの食事処に入ると、大抵が掘りごたつのように足を入れるようになっているが、そうではない。ここだけなのかと思ったのだが、大抵このような形であった。
直ぐさま、小鉢にはサラダ、ぜんまいのナムル、小皿に入れたキムチ、チヂミというお好み焼きの薄っぺらいようなのが出てきた。それを運んだ後、注文を取っている。
「前菜は、いくらお代りしても無料なのよ」と、ヒョンミさんが私に囁いた。
(なんと気前の良いことだろう!)
磁器研究家の先生がオーダーをなさっている。
韓国ビールと、他の飲みものとしてはサイダーなのだった。皆さまはビール私はサイダーで乾杯をしているうちに、次々にご馳走が運ばれてくる。
ケジャンという生の渡り蟹を一晩醤油漬けにしている珍しいもの、魚や貝をコチュジャンとお味噌で味付けしたチゲは、辛いキムチ味のお味噌汁の鍋物という感じだ。
それから茶碗蒸しは大きな鉢で、二人で一つぐらい出てくる。先ほどの前菜も一人一皿というわけでなく、ぽんぽんと点在して置かれている。
そして、金属の長いお箸とお匙も出てきた。スープをすくって飲むような丸い形で、そのお匙の柄が相当に長い。お匙は、なんとご飯を食べるのに用いられる。そしてご飯は、ステンレスのお椀のようなのに入っているのであった。
お箸はおかずを食べるのに使用され、取り皿というものがないので長い箸を伸ばしておかずをたべ、またお汁もお匙を伸ばしてすくうのだ。そして、お皿やお椀を持ち上げて食べるのは、大変行儀の悪いことだとされているというのだった。

溝江玲子

奈良新聞掲載2005年10月29日

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玲子のプロフィール

溝江玲子 山羊座で12月27日と暮れも押し詰まった大変忙しい時期に生まれました。
昭和12年、旧満州国奉天に生まれて、上海に育ち、終戦後に大連から引き揚げてきました。もう、戦争はこりごりです。
職業はと聞かれると、答えがいく通りもでてきます。一番格好よく答えると、作家かな。それから、7年前立ち上げた遊絲社(ゆうししゃ)という出版社の代表です。
趣味は読書とお絵描き、素材のページのキャラクターの原画も描いています。
へこんだときに呟く言葉は「人間 万事 塞翁が馬」。これで、幾多の試練を乗りきってきたのです。

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