top > コラム

コラム

ロード・オブ・ザ・ゴミ物語(3)

 

Y=京都と奈良の世界遺産の違いというのですか。京都は建物だけというものですが、奈良は春日山原始林も含めて原始林も含めて周りの景観も世界遺産なんですね。せっかくなっているんだから、それを守らないと、と思います。その意味でもこの「ゴミ物語」を知って欲しいし、県庁の上の人たちに知ってもらいたいですね。世界遺産のライトアップ(*)も大事だろうけれど、自然もこんなきれいなんですよと、観光客を呼び込むために、表面だけ繕っているのではだめなんだと気づいて欲しいですね。

K=このままでは世界の笑いもんになります。

Y=世界に出てみて改めて日本を見てみるのも良いでしょうね。

K=インターナショナルとか経済大国とかそんなことより、世界から見ての日本ですね。日本は無秩序なまま営利主義に偏っている国だとつねづね感じていますが、そのことを世界を基準にして、まず感じていくことから始めていかなくては、と思っています。

Y=景観美の話になりますが、ヨーロッパ辺りでは、風景などを見ても電柱はないですね。

K=ヨーロッパでは、建築物も周り一体の景観に合う色にするとか、全体としてきちんと意識をもって取り組んでいます。だから、ああいうきれいな町が出来るんだと思います。

Y=日本では、これでもかとあちこちに、広告看板が氾濫しています。空間利用、効率化といえば聞こえは良いですが。

K=ぼくが感心するのは、三重の高見山(*)のむこうの飯南町(*)ですが、あそこは広告看板禁止です。うどん屋の看板でも『ウチはうどん屋をやっていますよ』というのがわかるようなものを店先にちょっと置いているだけです。素晴らしいとりくみだと思います。それでぼくは、このギャラリーもその方針でやっています。
ぼくは思うんです。こんな状態のままで、次の世代に資産を引き渡していいものか?
一人前の大人が責任を感じなければならない。
僕たちが小さいときに大人たちから受け継いだ素晴らしいものが、だんだん悪くなっている。僕たち大人が、その素晴らしいものを自分たちの都合で破壊し、疲弊させ、浪費してしまっているからです。
このままでは、僕らの次の世代に、ますます悪くなったものを引き渡すということになる。これではいけない。

O=水源地に産廃処分場などをつくったりして、そんなことをしたらあとがどのようなことになるのか考えていないのですね。

オレンジ色に変色した川の水。
汚濁して不気味に泡立っている。
(奥谷和夫氏撮影)
大人たちの責任は重い。

Y=こんなきれいなことろもあったのかというのも、写真を通して地元の生徒達にも認識してもらいたいですねえ。

ポジで拝見すると、赤に染まった紅葉の葉一枚一枚が素晴らしいのだが、JPGで圧縮してしまえば、そのクオリティーは残念ながら再現できない。
私ごときが、批評まがいのことをするつもりはないのだが、構図も本当に見事で、写真の奥深さを感じる。
物を見る眼と、それから忍耐を持っていないと、こういう写真は撮ることが出来ないのではないか。ひたすら感心し、どうしても饒舌になる。
実は私、写真が大好きなのだが、鑑賞ばかりで、撮るほうがどうも。

K=成人の方々がギャラリーに来てもらうのも勿論うれしいのですが、青年たちに来て、触れて欲しい。そして、少年少女。十代とか、そういう子らが感想を書いてくれているのが嬉しいです。実際、そういう子らが感想も書いてくれているのが多いですね。
話が前後しますが、少年少女だけでなく親も趣味をもって欲しい。
こうして「ギャラリー」の運営をさしてもらっていて痛感するのは、芸術に触れるチャンスの少ないのは小学生、中学生なんですよね。アートギャラリー、美術館に行くチャンスが少ない。子供たちには、芸術作品を身近に感じて欲しいですね。
ヨーロッパなどに行くと、美術館でハイスクールなどの生徒が作品をじっと見ている。余裕をもって見ている。質問したり、家族とでもよく来ている。
我が国はどうかというと、我が国を侮辱する言い方は、心苦しいし、したくないのですが、日本の学生は団体で来てドタドタと来て、周りの迷惑を考えないことが多い。がやがやわいわいと騒ぎながら、流れ作業のコンベアのように一巡して終わってしまう。その差は最終的には、情操教育の差となっていってしまうのではと危惧しています。

Y=本物の芸術に触れていって欲しいですね。
では、最後に、奥谷さんに、ひと言(笑)。

K=たくさんありますよ(笑)。奥谷さんには、行政を通じて我々の意見を反映させて欲しいなと。ゴミの問題も一生懸命取り組んで欲しい。
それとともに、景観美、環境整備というものにも取り組んで欲しい。
例えば、室生寺(*)の赤い欄干の橋の上に醜くく電線がはられているが、そんなもの橋の下を通すとか。写真が撮りづらくてしょうがない(爆笑)。

Y=奈良も観光地なので、観光と資源を大切に考えて欲しいです。

O=おふた方のご意見は、確かにうけたまわりました(笑)。

Y=今日はお忙しいなかを、ありがとうございました。

「室生アートハウス」の地図です。
写真のほかにもいろいろな展覧会、催し物をやっています。
みなさんお気軽にお越し下さい。
(*^▽^*)

「室生アートハウス」
開館時間・夏時間 4〜9月 9:00-20:00
開館時間・冬時間 10〜3月 9:00-19:00
休館日・毎週水曜日/第2,第4木曜日
住所・〒633-0316奈良県宇陀郡室生村向渕1408
TEL・FAX0745-92-2777

奥谷和夫氏の著作

『大和ゴミ物語 くにのまほろば奈良はいま

『押し付け市町村合併からの脱却 ある小さな村の決断

『イワクラ 巨石の声を聞け

 

2002/9/1

前のページ | 3/3 | 次のページ

 

トップページに戻る